【質問】
海にも交通ルールはあるんですか?
【回答】
自動車や歩行者に交通ルールがあるように、船舶にも交通ルールがあります。
大洋航海中であっても、沿岸航海中であっても、港や湾内を航行中であっても、船は自由に動いているいるように見えて、法律・ルールに則って航行しているのです。
世界中あらゆる海域で、船籍(船の国籍)・船員の国籍、船の種類やスペックの異なる、また、船舶同士の見合い関係やその時の船の状況も異なる、多種多様な船舶が存在しています。
したがって、法律・ルールがない、或いは法律・ルールがあっても各船がそれを遵守しなければ、ハード面・ソフト面でのエラー、ヒューマンエラーなどによって、インシデント(事故)が発生する可能性が高くなってしまいます。
船舶・船員などに関係する国際的な法律はたくさんありますが、それらは国際海事機関(IMO: International Maritime Organization)により採決され、施行されます。
IMOとは、船舶の安全及び船舶からの海洋汚染の防止等、海事問題に関する国際協力を促進するための国連の機関で、ロンドンにあります。
また、船舶・船員などに関係する日本の国内法に関しては、IMOが施行した法律に遵守して定められ、施行されます。
例として、船舶の交通ルールに関する国際法及び国内法(国際法に準拠した船舶交通ルール)を下記の通り挙げます。
〈国際法〉
海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約
Convention On the InternationaL REGulations for Preventing Collisions at Sea
(COLREGs:通称コルレグ条約)
〈国内法(日本における船舶の交通ルールは以下3つの法律からなっています)〉
海上衝突予防法
海上交通安全法
港則法
ちなみに、船舶の交通ルール以外に関してIMOで施行された主な国際条約には、下記のようなものもあります。
船舶の航行の安全及びトン数の測度に関するものは
1974年海上人命安全条約(SOLAS条約)←後輩の琢磨くんが2024.01.30.に掲載した内容ですね。
当記事と併せて是非ご覧ください。
1966年の満載喫水線条約(LL条約)
船舶に起因する汚染の防止に関するものは
船舶汚染防止国際条約(MARPOL73/78条約)
船員の資格等に関するものは
1978年の船員訓練、資格証明及び当直基準条約(STCW条約)
船舶の出入港に係る手続きに関するものには
国際海上交通簡易化条約(FAL条約)
海難発生時の措置、捜索救助に関するものは
1979年の海上捜索救助条約(SAR条約)
1990年の油汚染準備、対応及び協力国際条約(OPRC条約)
海難に係る船舶所有者の責任制限、補償等に関するものには
難破物除去ナイロビ条約(ナイロビ条約)
など。
また、船舶交通ルール以外の国内法には、例として下記のようなものもあります。
船舶法
船員法
船舶安全法
船舶設備規程
など。
船舶に関しては、海上においても、陸上(オフィス)においても、多くの法律・ルールに従って(別の言い方をすれば、多くの法律・ルールに縛られて)成り立っていることをご理解いただければと思います。
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