質問:
船主会社に勤務する新人です。TC OUT している本船が、荷役中に発生した事故により損傷しました。船長からの報告によると、船内荷役業者のラフハンドリングが原因らしいのですが、私が行うべきことを教えて下さい。

お答え:
まず、Stevedore Damage については、一般的に傭船契約上は傭船者責任となっていますので、それに沿った処理の方法をお話します。
 
事故が起こった場合、まずは現場で船長が現認書を作成、損害を発生させた責任者の署名を取り付けるべく努力することになっています。そして同時に船主担当者は、船舶管理会社へ状況の確認を行います。損害が荷役業者に起因することが明らかな場合は、傭船者にStevedore Damage を認めさせ、そして、傭船者が、Stevedore Dameage を認めたならば、いつ、どこで、どのように修理をするのかを確認することも船主担当者の仕事です損害が軽微であれば、次回入渠時の修理となる場合もありますが、船級に抵触するダメージであれば直ちに修理することとなります。基本的に船体保全が第一ですが、一方で、損傷が軽微な場合は、傭船者側の都合もある程度考慮してあげる必要もあるでしょう。傭船者の状況も把握し、修繕の日程を考えましょう。
 
 
損害の原因がすぐに特定できない場合は、とりあえず、船体保険会社とP&I保険にも一報を入れておくとよいと思います。お話しました通りStevedore Damage は、傭船者責任の Damage ですので、原則、船主側の保険を使うことはありません。もし、使うと船体保険のロスレシオが上がり、次年度以降の保険料が高くなるので注意しましょう。

実際のところ、船体保険は一般的に 5百万円程度は免責ですから、通常の Stevedore Damage では、保険会社の出番がないケースが殆どです。

 

ちなみに、事故の原因が、確かに荷役業者や傭船者側に起因するものであるならば、荷役作業が中断している時間、或いは、再び航海が可能になるまでの時間は、Off Hire にはなりません。