集荷の基本は、自社が運航している船に最適な貨物を集めることです。最適な貨物の条件とは、第一に、船のスケジュールに適合していること、第二に、船の貨物室の大きさや高さなどに適合しているということ、第三に、船の荷役装置に適合しているということです。
それぞれの条件について、もう少し詳しいお話をします。
「船のスケジュールに適合している」とは、荷主の船積希望日と船の荷役日が合っているということです。輸出者と輸入者の間の代金決済が終わり、輸出通関が終了して初めて貨物は、Ready to load の状態になります。
この Ready to load よりも、船の荷役日の方が早ければ、船積することは物理的に不可能です。また、反対に Ready to load よりも、船の荷役日の方が遅ければ、船積することは物理的に可能ですが、荷主の満足度は下がってしまいます。
次に「船の貨物室の大きさや高さに適合しているか」とは、貨物の長さがハッチの長さよりも短い、或いは、貨物の高さが貨物室の高さよりも低い、と言う事です。要するに、貨物がハッチや貨物室に入る大きさであるということです。
それゆえに、集荷を行う際は、自社が運航する船のスペックを熟知して、更にブッキングを受ける前に、貨物のパッキングリストなどを入手して詳細を把握し、自社の船で当該貨物が船積できるか、を検証する必要があります。
「船の荷役装置に適合しているか?」とは、集荷しようとする貨物が船の荷役装置で船積みできるかということです。
自動車船の荷役方法は、ランプウェイを使った Roll On Roll Off 荷役になります。したがって、貨物は自ら走り込むか、牽引され引き込まれるかのいずれかが可能でないと船積できません。
一方、在来船の荷役方法は、クレーンを使った Lift On Lift Off 荷役になります。したがって、まず、荷主が吊り上げ荷役に同意し、かつ、クレーンの巻上げ能力内の重さであり、船のハッチの長さや貨物室の高さを超えない貨物でないと船積できません。
次は、ベース貨物、追いづみ貨物、揚げづみ貨物の集荷についてお話をさせて頂きます。基本的にブレイクバルク輸送は、その時々の集荷状況をみて、船のスケジュールが決定される不定期船輸送です。船が不定期に運航されるため、集荷は、「ベースの集荷」「追い積み集荷」「揚げ積の集荷」の3つに分類されます。
基本的に運航者は、物量が多く運賃総額が大きい貨物を集荷して船の仕向地を決めます。これを「ベースの集荷」と呼びます。次に運航者は、決定された仕向地むけの細かな(物量が小さい)で運賃単価の高い貨物を集荷して、輸送トン数と運賃総額を増加させます。これを「追い積みの集荷」と呼びます。更に、仕向地が2つ以上ある場合、各荷揚げ港で荷揚げされた貨物の空きスペースに、再び、その港から、次の荷揚げ港以降へ輸送される貨物を集荷します。これを「揚げ積みの集荷」と言います。「揚げ積みの集荷」をすることで貨物室の稼働率が上がり、航海収益は上昇します。
仮に、現在、船はAの港にいるとします。運航者は、まず、物量が多く、運賃総額が大きいBの港向けのケース貨物と、Cの港向けのスティールコイルを集荷しB港とCの港への寄港を決めます(ベースの集荷)。まだ、この船にはスペースが残っていますので、更にBの港向けのドラム缶が集荷されます。船積完了後、船はBの港に向けて出港します。
船がBの港に到着しすると、Aの港で積まれたケース貨物とドラム缶が荷揚げされます。そして、ケース貨物とドラム缶が荷揚げされた空きスペースに、新たにCの港向けのフレコンバックとケーブルドラムが集荷(揚げ積の集荷)されます。
本日のまとめをしましょう。
集荷の基本は、荷主の船積希望日と船のスケジュールとを合わせて集荷することです。そして、貨物の特性と船のスペックとを合わせて集荷することです。
追い積の集荷とは、船のスケジュールが確定した後、運賃単価の高い細かな貨物を追加集荷することです。
揚げ積の集荷とは、荷揚げされた後の空きスペースに、再びそれ以降に寄港する港向けの貨物を集荷することです。揚げ積み貨物を集荷することで、貨物室の稼働率が向上し航海収益が上昇します。
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