中央横断面図(Midship Section)
船の中央付近(Midship)を横断(=垂直に切断)した断面構造を示す図面で、船の幅方向(Beam)と高さ方向(Depth)の構造部材がすべて視覚化されます。
容積図(Capacity Plan)
船内の各部(貨物倉、タンク、居住区など)の容積(m³)を示す図面です。単なる空間の形状ではなく、「その空間にどれだけモノや液体が入るか」を図面で明らかにしたものです。最大搭載量や偏荷重の検討に活用したり、貨物タンク容積などの規定に準拠しているか確認したり、どこに、何を、どれだけ積載するかを判断するために使います。また、液体の移動や満載状態が船の傾きに与える影響を検討する時にも使います。
一般配置図( General Arrangement )
船全体の構造や各部の配置を俯瞰的に示した図面です。船首から船尾までの主要な区画、例えば機関室、貨物倉、居住区、操舵室などの配置がわかります。また各甲板(デッキ)の上部構造、甲板機器、救命設備の位置などのレイアウトもわかります。水密区画やバルクヘッド(隔壁)や発電機、ポンプ、通信機器、航海装置などの位置と形状などを理解することもできます。
少なくとも、上記の3つを理解していないと運航も経営もできません。
鋼材構造図(Construction Profile)
船体構造の骨組み(フレームワーク)を示すための図面です。船の強度・剛性を担保するために必要な鋼材の種類・配置・断面形状が視覚化されます。特に中央横断面図(Midship Section)と連携しつつ、縦方向の構造(長手材)や甲板・底部構造などの情報を補足することが多いです。造船設計段階での構造審査・強度計算、船級協会への構造承認申請、製造現場での部材加工・配置の基準図、船体構造の標準化・部材最適化の検討資料などに使われます。中央横断面図が「ある一点の断面」を示すのに対して、鋼材構造図は船全体の構造配置の概要を示しています。
外板展開図(Shell Expansion)
船の外側の鉄板(外板)を平面に広げた図面です。曲がった船の表面を、まっすぐな板として加工するために、造船所で「どこにどんな板を付けるか」を分かりやすくするための図面です。船の前から後ろまで、外板の番号やサイズ、板同士の継ぎ目(どこで溶接するか)が描かれています。つまり、「立体の船を作るための平面設計図」のようなものです。さらに、実際の展開図には以下のような情報が加えられます。ストレーク配置(Strake Layout):外板が縦方向にどのように帯状に並んでいるかがわかるようになっており、構造的整合性と加工の便宜のために重要です。曲率や曲げ指示:曲がった形状を平面に展開したとき、どれだけの湾曲が必要かを示す数値が記載される場合もあります。製造・加工情報との連携:この展開図をもとに、CAD/CAMシステムで鋼板の切断図を作成したり、数値制御機械(NC cutting)に転送することが可能です。理論的展開と現物補正:理論上の形状と、実際の現場で必要とされる調整との差分も反映されることがあり、精度の高い造船に貢献します。
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