船員部の琢磨君が先の会社ブログにて、現在、日本人船員(航海士・機関士)が減少していることについて触れましたので、参考までに今回私からは、航海士・機関士のなり方に関して話したいと思います。
まず、航海士と機関士は国家資格です。航海士になるには海技士(航海)、機関士になるには海技士(機関)という資格を取得しなくてはなりません。海技士(航海)、海技士(機関)にはそれぞれ1級から6級まで階級が分かれており、外航船(外国航路)の航海士または機関士になるには3級の免状が最低限必要です。
資格免状に関する詳細説明は省きますが、外航船の船長、1等航海士、2等航海士、3等航海士、機関長、1等機関士、2等機関士、3等機関士、また、内航船(国内航路)の船長、1等航海士、2等航海士、3等航海士、機関長、1等機関士、2等機関士、3等機関士、それぞれに要求される資格の等級が異なります。
各等級の資格を取得するには、それぞれ、筆記試験の合格、当該等級に必要な乗船履歴をつけること、口述試験の合格、身体検査の合格、が求められます。
以下に、一般的な資格取得までの流れを記載します。
登録船舶職員養成施設である学校(国が許可した学校)で必要な単位を履修し、座学及び実技の訓練を行うとともに、大型練習船で合計12か月間の乗船訓練を実施。それらをクリアすると3級または4級海技士の筆記試験が免除され、また、乗船訓練により乗船履歴がついた状態になるので、口述試験を受けて合格し、身体検査を通過すれば、当該等級の海技士免状を取得することができる。(登録船舶職員養成施設にはどのような学校があるか、どの学校でどの等級の免状を取得することができるのか、主となる学校に関し下記参照)
東京海洋大学
(文部科学省所管。3級海技士取得可能。高等学校卒業者を対象として4年6か月間)
神戸大学
(文部科学省所管。3級海技士取得可能。高等学校卒業者を対象として4年6か月間)
大島商船高等専門学校
(文部科学省所管。3級海技士取得可能。中学校卒業者を対象として5年6か月間)
広島商船高等専門学校
(文部科学省所管。3級海技士取得可能。中学校卒業者を対象として5年6か月間)
弓削商船高等専門学校
(文部科学省所管。3級海技士取得可能。中学校卒業者を対象として5年6か月間)
鳥羽商船高等専門学校
(文部科学省所管。3級海技士取得可能。中学校卒業者を対象として5年6か月間)
富山高等専門学校
(文部科学省所管。3級海技士取得可能。中学校卒業者を対象として5年6か月間)
宮古海上技術短期大学校
(国土交通省所管。4級海技士取得可能。高等学校卒業者を対象として2年間)
清水海上技術短期大学校
(国土交通省所管。4級海技士取得可能。高等学校卒業者を対象として2年間)
波方海上技術短期大学校
(国土交通省所管。4級海技士取得可能。高等学校卒業者を対象として2年間)
小樽海上技術短期大学校
(国土交通省所管。4級海技士取得可能。高等学校卒業者を対象として2年間)
唐津海上技術短期大学校
(国土交通省所管。4級海技士取得可能。高等学校卒業者を対象として2年間)
館山海上技術学校
(国土交通省所管。4級海技士取得可能。中学校卒業者を対象として3年6か月間)
唐津海上技術学校
(国土交通省所管。4級海技士取得可能。中学校卒業者を対象として3年6か月間)
口之津海上技術学校
(国土交通省所管。4級海技士取得可能。中学校卒業者を対象として3年6か月間)
ちなみにですが、海技士と小型船舶操縦士は異なるものです。
20トン未満の船舶を操船する場合には小型船舶操縦士免状、20トン以上の船舶を操船する場合には海技士(航海)免状が必要です。
海運業以外の方においてはそのあたりを知らない方々もいて、船舶の免状には小型船舶操縦士しかなく、大型船も当該免状で操船できると思っている方もいるようです。
船員のことをあまりご存じない方々には、これからも少しずつ知っていただきたいなと思いますし、既に船員に興味のある方々にはより深く知っていただきたく思います。また、船員を目指そうか悩んでいる方々がいらっしゃれば、迷うことなく是非、船乗りの道に進んでもらいたいと思います!
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