事態の切り分け
 
海上運賃を見積もる時、或いは事故が発生した時に大切なことは、先ず、責任範囲を明確化(事態を切り分ける)することです。
 
海上運賃を見積もる時、LILOなのか、LIFIなのか、FILOなのか、はたまたFIOなのか必ず見積条件に明記すると思います。これは、シッピングタームを設定することで輸送責任の範囲が明確化し、自動的に運賃に盛り込まなければならないコストやリスクが明確化するからですね。
 
まず前提条件を決める(事態を切り分ける)ことで、スムーズな見積もり作成が可能になります。
 
また事故が発生した時も同様です。先述した LILOなのか、LIFIなのか、FILOなのか、FIOなのかによって、事故責任が分かれ、事故の損害をどの保険で処理するかが決まります。更に、事故原因によっても事故責任が決まり賠償責任を負う者が決まります。
 
過去に貨物ダメージがあった時、すぐに荷主が海運会社に怒鳴り込むようなことがありました。後日、原因は、その荷主の貨物の梱包不備であったことが判明しました。その貨物の落下によって、他の貨物や船にも損害が発生していたので、恥ずかしいことに、その荷主は、他の荷主、船主、海運会社に賠償金を支払うことになりました。
 
海上運賃を見積もる時、事故が発生した時、その他様々な場面で「事態を切り分ける」という習慣を身に着けていないと、いたずらに騒ぐばかりで回りに迷惑をかけることになるので、気を付けたいものです。