質問:

スイマセン、船から「スターンチューブから油が漏れている!」って言ってきましたが、私は運航担当者なので技術的な事がわかりません。ヤバいですか? 簡単に教えて頂けると助かります。

ご回答:

スターンチューブとは、日本語で「船尾管」と呼ばれるもので、プロペラ軸が船体を貫通する部分の「筒」のことです。ご存知の通り、船はプロペラを回転させることで推進力を得ますが、同時にプロペラ軸も回転しています。

 

丸の部分がStern Tube(船尾管)

 

この回転する部分には軸受が設けられ、軸受は冷却しないと発熱してしまいます。この冷却は例えば海水冷却、空気冷却、潤滑油冷却などがあり、「スターンチューブから油が漏れている」は潤滑油冷却を採用している軸受の船尾管シール装置から油が漏れていることだと思います。

この潤滑油は冷却はもちろんのこと、シールとシールの間に圧力をかけることにより、船外から海水が浸入するのを防ぐ役割もあり、潤滑油の漏洩はシールのダメージを疑います。 海洋汚染に直結する重大な事象になりうる為、日々の確認が重要になります。

 

この画像の黒い「く」の字の部分がシール

https://mechanical-tech.co.jp/book/export/html/4127 から引用

 

シールは、この図では上に5個、下に5個あります。そして、それぞれ役割が違うのですが、これを説明すると話がながくなるので、ここまでに留めたいと思います。お話を聞いた限りでは、シールに何らかの問題があると思われます。根本的に解決するためには入渠が必要です。

ヤバいですか?と問われれば、ヤバいと思います。

お大事にして下さい。