本日のテーマは、オペレーションです。オペレーション業務とは、運航する船や寄港地の代理店と連絡を取り合って、航海をスムーズに進行することです。代表的な業務は、スケジュールを船長と代理店に連絡する、天気図を見て船長に航路をアドバイスする、本船の位置を確認する、寄港する港の船混み状況を事前に確認する、入出港予定時間とパイロット乗船予定時間などを確認する、着岸と離岸の予定時間を確認する、荷役予定時間を確認する、燃料などの補給物資を調達する、寄港地での集荷を行うなどです。

 

オペレーションを行う上で重要なことは、船長や港湾代理店担当者と信頼関係を築き、航海損益に悪影響を及ぼす様々な状況を事前に排除し、損失を未然に防ぐことです。

 

 

余分な燃料や飲料水を取らない!

もし、余分な燃料や飲料水を取ってしまうと船体重量が増え、燃費が悪化し、積載量が減少、スピードも鈍化、時に潮汐の影響を受け、スケジュールが遅延するリスクは高まります。諸事情を考慮して、事前に給油と給水の計画をたてましょう。

 

台風や荒天に遭遇しない!

もし、悪天候に遭遇してしまうと、スケジュールに遅延が生じるばかりか、貨物事故、船体損傷が発生するリスクがあります。

 

入出港のタイミングを逃さない!

もし、タイミングを逃してしまうと、タグボートやパイロット費用が割り増しになり、潮汐の影響を受ける港では、次の潮まで入出港が出来ないリスクがあります。事前に潮汐表を入手し、荷役業者と荷役の計画を立てましょう。

 

船混み巻き込まれない!

もし、船混みに巻き込まれてしまうと、着岸が遅れスケジュールに狂いが生じます。港湾設備が整っていない港や多くの船が寄港する港は、常に船混みのリスクがあります。事前に船混みの発生を察知できれば、 寄港順を変更するなどしてスケジュールを維持することが可能です。

 

 

港湾ストライキに巻き込まれない!

もし、ストライキに巻き込まれると、 着岸が遅れスケジュールに狂いが生じます。 ストライキ情報を事前に収集し、寄港順を変更するなどしてスケジュールを維持することが可能です。

 

荷役作業員の不足を起こさない!

もし、荷役作業員が不足すると、荷役作業時間が長期化しスケジュールに狂いが生じます。入港前に代理店とよく連絡を取り、十分な荷役作業員を確保しましょう。

 

事故防止策と事故処理手続きを万全にする!

もし、事故防止策が万全でないと事故発生の頻度が増え、また事故処理手続きが確立していないと、事故発生時の円滑な処理ができません。そして、それらが不十分だと保険料の上昇やスケジュールに狂いが生じます。また、当然、荷主の信頼は低下します。

 

 

オペレーションには、合理的な運航を行ってコストを低減したり、リスクを回避して新たなコストを発生させないという守勢の業務と、寄港地毎で貨物を集荷して、貨物室の稼働率をあげて、利益を伸ばすという攻勢の業務があります。出航当初に目論んだ運航利益も、その後のオペレーションが悪く、新たなコストを発生させてしまえば、当初の予想利益はどんどん減ってしまいます。一方、出航当初の予想利益が少なくても、その後のオペレーションが素晴らしければ、当初の利益を大幅に上回ることもことも可能です。オペレーションは、運航の最後の仕上げの業務であり、利益を確定する大切な業務です。