LOG(ログ)KNOT(ノット)

 

広辞苑によると、LOG(ログ)は以下のように定義されています。

丸太、測程器、航海日誌、航空日誌、ログブック、コンピューターの操作・入出力データの記録、ログファイル

 

船舶では『ログ』が付く用語として例えば、LOG BOOK(航海日誌)LOG SPEED(対水速力)、測程儀(船の速力や航程を測定する航海計器のひとつ)である電磁ログ、ドップラーログなどがあります。

 

また、現代では『ログ』が付く用語として他にも、コンピューターなどのLOG IN(ログイン)/LOG OUT(ログアウト)BLOG(ブログ)といったようなものが使用されています。

 

元々『丸太』を意味する『ログ』ですが、何故上記のような意味をもつようになったのか、皆さんご存じですか。

 

それは、昔、船舶においては小さな丸太を海に投げて船の速さを測定したり、また、一定の時間のなかで、船がどのくらいの距離を進んだかを算出していたことに由来しています。

航海中の船が船位を知る方法のひとつとして緯度・経度がありますが、コロンブスをはじめとする大航海時代の船乗りたちにとって緯度を知ることは容易で、計測器で正午の太陽の高さ(角距離)を測定すれば、そこから緯度を割り出せました。問題は経度で、経度はどのくらい進んだかを計測して記録するのです。当時は船の航行速度を測定する装置が無い時代なので、丸太を船首から投げ込んで時間の経過と離れていく水上の丸太との距離で船の速度を測り、これをLOG BOOK(航海日誌)に記録しました。結果を記録するので、「航海日誌」→「記録」の意味でも使われるようになり、海だけでなく飛行機の機長が付ける航空記録もログと呼ばれるようになり、現在でもログインやログアウト、ブログといったように、様々な記録に関しログという言葉が使われるようになったのです。

 

それでは、『ノット』はどうでしょう。船の速度は何故『ノット』で表すのでしょうか。

 

広辞苑によると、KNOT(ノット)は以下のように定義されています。

ひも・ネクタイなどの結び目、船舶・海流などの速度の単位

 

広辞苑でも説明されている通り、ノットとは、船舶の速力を表す単位です。1ノットは、1時間に1海里を進む速さとなっています。

1海里=1,852m

1ノット=1,852m/h

海里は英語でマイル(mile)といいますが、陸上で用いるマイル(1,609.344m)と海で用いるマイルは距離が異なるため、区別するためにノウティカルマイル(nautical mile(NM))と呼ぶこともあります。

 

先ほど述べた通り、昔は、先端に木片(LOG)を付けたロープを船首から海面に投げ下ろし、木片が船尾に来るまでの時間を測るという方法で船の速度を測っていました。計測しているその間、船が進んだ距離は船の長さ分なので、かかった時間で割ると速度を出すことができるというものです。

この方法はその後進化し、船尾から木片を海面に投げ入れ、砂時計の砂が落ちきる28秒間に出ていったロープの長さを測る、という方法に変わりました。一定間隔でロープに結び目を作っておき、結び目が何個出ていったかカウントすることで、より効率よく距離を算出できるという方法です。この『結び目』を英語で『KNOT(ノット)』というため、結び目を1ノット、2ノットと数えるうちにノットが速度の単位になったというわけです。

 

ちなみに、『ノット』の元々の意味は『ロープの結び目』以外に、ボーラインノット、リーフノット、エイトノットなど、ロープの結び方の種類という意味合いもあります。

 

2003年ラッセル・クロウ主演のアメリカ映画で、『マスター・アンド・コマンダー』というナポレオン時代の戦争映画があります。私が高校生の時に映画館で観た、今でも好きな映画のひとつですが、この映画の中で

船尾に立つ艦長が、ロープにつないだ丸太を海に投げ入れるよう乗組員に命じた後、下士官が砂時計を逆にし、砂が落ち終わると艦長は進出していたロープを止めさせ、ロープに一定間隔で結んである結び目を数えさせる

といった、今回の話題に関連する場面を観ることができます。

 

興味のある方は是非、観てみてください。